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自動車工場でのみ採取できる美しい鉱石「フォーダイト(デトロイト瑪瑙)」
文明の栄枯盛衰を物語る残滓とも言うべきこの人工鉱石「フォーダイト(デトロイト瑪瑙)」は、アメリカ、ミシガン州デトロイトの廃自動車工場の床や壁から採取されたものだ。
20世紀当初、車の塗装は手作業で行われていた。床や壁に飛び散ったエナメル塗料は、そのままの状態でまた次の塗装作業が行われ、何層にも積み重ねられていった。それが月日を経て固まっていき、それを研磨したものがこの美しいフォーダイトとなっていったのである。
デトロイトは五大湖の水運に恵まれ、20世紀初めから自動車産業で栄えた都市である。だが、アメリカの自動車産業の衰退に伴い、現在はほとんどの自動車メーカーが撤退し、都市全体も廃れていった。
だが全盛期、自動車工場はフル稼働の状態で、スプレーで手作業により吹き付けられていた塗料は、硬化させるための高熱処理が行われ、すぐにまた次の塗装に入ると言った形で、壁や床に飛び散った塗料は何百もの層を作っていった。
かつての自動車工場の壁や床から採取したフォーダイトは、更に磨きをかけられ美しくカットされて販売されている。
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フォーダイトという名前は、米自動車メーカー「フォード(Ford)」と、「デトロイト(Detroit)」、瑪瑙(めのう)を意味する「アゲート(agate)」をつなぎあわせてつくられた造語である。
フォーダイトの中の色は、かつての自動車の色であると思うと感慨深い。
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現代の自動車工場の塗装工程はすべてオートメーション化されているので、スプレーが床や壁に飛び散るということもない。その為新たなフォーダイトが作り出されることはほとんどない。
まさに時代の生き証人ともいうべきフォーダイトは人工物ではあるものの、鉱石コレクションに加えたいものの一つである。
フォーダイトの加工作業
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