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10体の玉乗りロボット「村田製作所チアリーダー部」発表
「村田製作所チアリーダー部」
株式会社村田製作所は25日、10体の玉乗りロボットによる「村田製作所チアリーダー部」を開発したと発表し、東京・渋谷にある同社支社で記者会見を行なった。ボールの上でバランスを保って全方位に移動し、10体でフォーメーションダンスを行なう。村田製作所チアリーダー部は、10月7日から10月11日の日程で幕張メッセにて開催される「CEATEC JAPAN 2014」同社ブース内で披露される予定だ。
村田製作所チアリーダー部の各ロボットは身長35cmで、体重は1.5kg。大きなペットボトルくらいの大きさ。秒速30cmで移動することができ、稼働時間は約1時間。4×4mの範囲でパフォーマンスする。手と目には3色LEDを使っている。メンバーの設定は「好奇心おう盛な小学校高学年」で、「現在、部員募集中」とのことなので、メンバーはまだ増えるのかもしれない。
3つのジャイロセンサーを使用して体の傾きを計測し、体の重心を地面とボールの真上でキープする。複数台の協調は、京都大学松野研究室との共同研究によって実現した。2つの発信器から出された超音波と赤外線を、頭部に内蔵した5つのマイクと4つの赤外線センサーで受信、位置をリアルタイムに把握することで実現した。把握した位置情報は、腹部に内蔵した920MHz通信モジュールで郡制御ホストシステムに伝え、それぞれのロボットが指示を受けることで、ぶつからずに動くことができる。ほかにも、村田製作所のコンデンサ、インダクタ、フィルタ、フェライトビーズ、水晶振動子、マジックストラップなどを使用している。
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群制御技術によって、複数台で協調移動しながらフォーメーションを自在に変えられる
【動画】公式プロモーション映像
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自転車型ロボット「ムラタセイサク君」(初代が1991年、2代目が2005年)、一輪車型ロボット「ムラタセイコちゃん」(3代目、2008年)に次ぐ、4代目のロボットとなる。「ムラタセイコちゃん」以来、6年ぶりの発表だ。外部パートナーと協業して開発した。
充電台兼用ディスプレイ台に載せられたチアリーダーロボット
側面
背面
目と手は3色LEDで発光する
頭部のスポンジの下にマイクと赤外線センサーが隠されている
頬も光る
頭部にセンサー、腹部に通信モジュールを内蔵
ジャイロを使ってバランスを取る倒立振子制御技術
最初はもっと多くのロボットを使う案もあったそうだ
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【動画】解説付きのデモ動画
本体が乗っているボールは中空の金属製で、表面はゴムで加工されている。そのボールを、本体のスカート内にある3つのオムニホイールで動かしてバランスを取る。今回のデモの中では、黒1色のボールのほか、白いバンドの入ったボールが使われていることもあったが、それは観客からボールの動きが見えやすくするため。なお、ボール部を除く本体の身長は21cmあまり。1.5kgというのは本体重量で、ボール部の重量はそれとは別に500g程度ある。腕などは動くがアピール用で、制御には関与していない。
なおこのオムニホイールは大阪のロボット企業・ヴイストン株式会社のショップで「なめらかオムニホイール」として販売されている。同社は今回、パートナー企業として開発に協力した。デザインを優先させたため本体の重心位置がボールの真上に来ておらず、その点は苦労したという。このほか、超音波と赤外線による位置決め技術には大阪の株式会社プロアシストが協力している。
本体はボールの上に乗っているだけ。3方向にオムニホイールがある
重さ500g程度のボール
本体下部の内部。カバーを外したところ
超音波と赤外線を発信する発信器。ステージ両側に1台ずつ置かれていた
1列にならんで決めポーズ
ムラタセイサク君、ムラタセイコちゃんとチアリーダーロボット
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群制御のシステムは京都大学松野研究室との共同開発。松野文俊教授によれば、群をどのように表現するかがポイントだったという。今回のロボットではそれぞれの群を1つの代表点で表現し、1つ1つのロボットは代表点からの距離を元に制御されている。群と群との交差なども、代表点を動かすことで制御しているという。
群を「代表点」で表現して制御している
京都大学教授 松野文俊氏
【動画】複数台の動きが見えやすい俯瞰
スラローム走行の様子。前のロボットが走った軌跡を走る
会見では、村田製作所 上席執行役員 技術・事業開発本部 副本部長 新規プロセス開発センターセンター長 小島祐一氏が「ムラタのさらなる躍進を牽引する3つの強みを紹介したい」と、最先端の研究開発、グローバルネットワーク、顧客との信頼を挙げた。そして「これからも村田は顧客が何を求めているかを追求し、ソリューションを提供していきたい」と語った。ロボットは村田の風土を表すものだという。
村田製作所 広報室 企業広報課 担当課長 吉川浩一氏は、「エレクトロニクスの描く豊かな未来を感じてもらいたい」と語った。初代「ムラタセイサク君」は圧電振動ジャイロをアピールするために開発された。吉川氏は現職は広報課だが以前は技術開発に従事しており、2代目「ムラタセイサク君」の開発に携わったという。2008年には一輪車の「ムラタイセイコ」が登場した。
吉川氏は同社のロボットたちは学校等に出張し、「イノベイターとなりえる子供たちにものづくりの楽しさを伝えてきた」と語った。また、技術だけでなくビジョンを伝える企業アンバサダーとして活躍してきたと述べた。今回の4代目のチアリーディングロボットは、村田製作所が1944年の創業以来70周年を迎えるということと、部品ではなく、「ソリューション」を提言したいというメッセージを発信するものとして開発されたという。例えば群制御の技術などは将来のスマートハウスなどにも応用できる可能性があるとされた。
村田製作所 上席執行役員 技術・事業開発本部 副本部長 新規プロセス開発センターセンター長 小島祐一氏
村田製作所 広報室 企業広報課 担当課長 吉川浩一氏
3つのSが技術キーワード
なお村田製作所は、「CEATEC JAPAN 2014」では「ワイヤレスセンサネットワーク」をテーマに、「Wireless Solutions」、「Sensing Solutions」、そして「Power Solutions」の3コーナーを展開。Bluetooth Smartモジュールとセンサを搭載して、温湿度、体表面の温度、オムツの交換回数などを記録して、電子母子手帳や医療機関との連携、家族間でのシェアが可能な「赤ちゃんのためのライフログツール」、小型薄型で高性能な光センサ、厚み約100μmのFPC(Flexible Printed Circuit)を採用したフィルム温度センサー、気圧センサーを搭載して人の脈拍や体表面の温度、活動量などの健康データを、ストレスなく取得できる「ウェアラブル端末型デモ機」などを出展する予定とされている。
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